重量挙げ元日本一のトレーナーが語るバーベルデッドリフトの技術ポイント

重量挙げ元日本一のトレーナーが語るバーベルデッドリフトの技術ポイント

今日の内容は、マッスルパーク「トレーナー紹介」でもピックアップしている元重量挙げ日本一に輝いた経歴を持つ藤瀬雄介さんにバーベルデッドリフトの技術ポイントを教えてもらいます。グリップの形からリストストラップの巻き方まで画像で解説していただいているのでバーベルデッドリフト初心者の方はもちろん、上級者の方も基本から見直すことができる内容となっているので是非ご覧下さい!

高重量でバーバルデッドリフトを行なう理由

デッドリフトといえば、バーベルによるデッドリフト、またはダンベルによるデッドリフトなどが一般的です。筋力がまだそれほど強くない方の中には、チューブによるデッドリフトを行なう方もいらっしゃるかもしれません。その中でも今回は、特に高重量を引き挙げるための「バーベルデッドリフト」の方法に絞ってお話をします。やはり扱う負荷も重量が高ければ高いほど、筋肉への刺激が強く、高い身体能力向上の効果が見込めるからです。

100kgのダンベルを左右それぞれ片方ずつで持ってデッドリフトを行なうことは難しいですが、200kgのバーベルを両手で持ってデッドリフトを行なうのは練習すれば不可能ではありません。

バーベルデッドリフトで高重量を扱うときの注意点

いくら高重量を扱いたいからといって、腰や背中が曲がってしまうような状況でバーベルデッドリフトを行なうのはとても危険です。腰や背中が曲がった状態でバーベルデッドリフトを行なうと、腰や背中の筋肉をひどく痛めてしまう可能性もあります。バーベルデッドリフト(ダンベルデッドリフトのときでも)を行なう際は、必ず腰や背中が曲がらない安全なフォームで行なうようにしましょう。まだフォームに不安があるうちは、トレーニング用ベルトなどを腰の保護のため装着することをおすすめします。

バーベルデッドリフトの技術ポイント

私がお話しするデッドリフトの方法は、最終的にクリーン(バーベルを一気に鎖骨あたりまで引き挙げるトレーニング)を行なうことを前提とした方法になります。ハムストリングに集中的に効かせるというよりは、ハムストリング・大腿四頭筋・背筋群など、デッドリフトを行なうときに主に動員する全ての筋肉を巧みに使い分けるといった感覚になりますので、全身まんべんなく鍛えることが可能です。

手の力みを防ぐためのバーベルの握り方(フックグリップ)

バーベルデッドリフトを素手で行なう際のバーベルの握り方は、フックグリップがおすすめです。手に力が入ってしまうのを防げるので、上半身に余分な力を入れることなくフォームを安定させることができます。ただし重量が上がってくればいくらフックグリップが有効な手段だとしても限界があるので、ストラップを巻くことをおすすめします。

「フックグリップの形」と「ストラップを巻いた形」

手の力みを防ぐためのバーベルの握り方(フックグリップ)「フックグリップの形」と「ストラップを巻いた形」

素手でバーベルを握るフックグリップの握り始めは、小指・薬指の順番です。ここは握り方の中で最も重要な部分になりますので注意しましょう。

小指と薬指の次は親指です。親指をバーに軽く添えるようにして置きます。強くバーベルに押し付ける必要はありません。最後に人差し指と中指を、親指の上に添えます。これも力を入れる必要は全くありません。小指と薬指とは逆の力の入れ方になります。

この小指と薬指でしっかりバーベルを握る・親指・人差し指・中指に力を入れないという状態が実現できれば、手や腕・肩などに余分な力を入れずにデッドリフトの動作に臨むことができます。

親指が短くてどうしても人差し指と中指2本とも親指の上添えることができない場合は、人差し指だけを親指にそえてもかまいません。ただ、握りは当然甘くなってしまいますので、小指と薬指の握りはさらにしっかり注意するようにしましょう。

純粋に脚と背中の力をバーベルに伝えるためのデッドリフト構え方

純粋に脚と背中の力をバーベルに伝えるためのデッドリフト構え方

バーベルデッドリフトの足幅は、よほど股関節や足首の関節などが硬い場合を除き、通常は自分の肩幅に両足の内側の幅を合わせることが多いです。

もしデッドリフトの拳上重量を競うのではなく、筋力の向上や動作能力の向上のことを考えてバーベルデッドリフトを行なうのであれば、自然体で開いた足幅で構えるのが筋力や動作能力アップには向いているといえます。

構えを作るとき最初に気をつけたいポイントは、つま先の向きです。肩幅程度の握り・足幅でバーベルデッドリフトを行なう場合、両足をほぼ平行に揃え、つま先は真っ直ぐ前方に向けます。

ただし、両足をほぼ平行・つま先を真っ直ぐにしたときに腰や背中が曲がってしまう場合は、つま先を少しだけ外側に向けると、腰や背中が曲がりにくくなり安定します。このとき膝の向きも、つま先の方向に合わせるようにしましょう。

バーベルデッドリフトにおいては、足腰に力の意識をできるだけ集中することで上半身が力まないようにしたいので、上半身の体勢づくりも注意が必要です。

上半身の体勢づくりで一番意識を必要とするのが、胸の張りです。胸が曲がってしまうと、背中や腰も連動して曲がりやすくなってしまい、効率が悪くなるだけでなくフォームの安全性も確保が難しくなってしまいます。

胸を張る意識が持てたら、次は股関節の屈曲です。股関節を十分に曲げなければ、やはり腰や背中が曲がってしまう原因となります。股関節は十分に屈曲させ、腰と背中を伸ばしてお尻を後方に鋭く突き出す意識を持ちましょう。

手の小指側と腕の外側で構えのバランスをとるようにし、肩はリラックスしておきます。肩の位置は、バーベルのほぼ真上が理想的です。

バーベルデッドリフトの軌道①(床から膝の高さまで)

バーベルデッドリフトの軌道①(床から膝の高さまで)

上半身の緊張を緩めて太ももと股関節の安定感を確保しながら構えることができたなら、ゆっくりとスピードを抑えながらバーベルを床から離しつつ動作を開始します。

腕や肩・胸などは脱力してリラックスしつつ、太ももと股関節に力を集中して床を押しながら、自分が立ち上がると同時にバーベルが自然と浮いてくるようなイメージです。

膝の高さまでバーベルを浮かせていく際に注意すべきフォームポイントは以下の通りです。

  • 上半身よりも先にお尻が上がってしまわないようにします。
  • バーバルが膝の高さに到達するまでは、胸と背中は構えたときと同じ角度・状態にしておきます。
  • バーベルが浮き上がっている最中も、肩の位置はバーベルの真上の位置のままでキープしておきます。

バーベルデッドリフトの軌道②(膝から股関節付近まで)

バーベルデッドリフトの軌道②(膝から股関節付近まで)

バーベルを膝の高さまで引き挙げてきたら、膝の上部にバーベルを擦り挙げるとともに徐々に上半身を起こしていきます。

上半身を起こしながらバーベルを太ももに擦らせて、股関節付近まで引き挙げていきます。

膝から股関節付近までバーベルを引き挙げる動作時に注意すべきフォームポイントは以下の通りです。

  • 膝から上にバーベルが移動する際に初めて胸の角度が少しずつ起き上がります。胸を起こすだけで自然とバーベルが太ももに沿って引き挙がる感じです。
  • 胸が起き上がり股関節が伸ばされていくタイミングと同時にバーベルがさらに引き挙がっていく形を意識します。
  • バーベルは体の最も近い所を移動させるか、直接体に擦らせてもかまいません。

最後に

デッドリフトはバーベルトレーニングの中でも、特にフォーム形成が大切なトレーニング種目だといえます。床からバーベルを引き挙げようとするので、どうしても深い前傾姿勢となってしまい、腰への負担が増えてしまうからです。

腰を痛めないようにするためにも、デッドリフトのときは腕や肩など上半身の力はリラックス状態にし、下半身の外側から力が上半身に徐々に伝達していくようなイメージがベストです。

どのトレーニング種目にも同じことがいえますが、ケガをすることがない安全なフォームを確保することが最高のトレーニング効果につながりますので、無理をすることなく少しずつ強化を進めていくようにしましょう。

今回の著者:トレーナー藤瀬雄介氏